なぜお年寄りは、黒電話(固定電話)は使えて、携帯電話は使えないのか?
最近の携帯電話は機能が沢山ついている、または、黒電話は昔から使っているからという理由もあるかもしれない。
が、携帯電話については『電話をかける』/『電話を受ける』だけでも戸惑うという。
そこで、純粋に黒電話と携帯電話の電話をかける場合の動作について考察してみる。
黒電話で電話をかける際の動作を見てみよう。
①受話器を取り、耳にあてる
②電話番号を回す
たった、これだけである。
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黒電話は、受話器を取る/置くという動作とスイッチのON/OFFが自動的に対応している。
受話器を取って話す態勢になった時には、既にスイッチが入っており、逆に終話時は、受話器を置くとスイッチが切れる。
これが仮に受話器をとって、なにかのボタンを押してからの通話/終話となれば、どうだろうか?
さらに受話器を置く部分であるが、置き場の役割と転倒時にも電話が切れないようなデザインになっている。
【ダイヤル】
指を入れてまわすことを意図したデザインであり、見た目にもわかりやすい。
ダイヤルが回転して戻る動作は、視覚的にも入力している感覚を得やすい。
【受話器】
上下がわかるようにコードは下から出しており、握る部分も受話部も明確なデザインである。
これが受話器の真ん中あたりから、コードがでていたらどうなるだろうか?
ちなみに受話器の部分は、人間工学的にも持ち易く、現在のものとくらべ多少の重量があるかもしれないが、長時間話してもそれほど苦にならない。
では、携帯電話で電話をかけることを考えてみよう。
①相手の番号を押す。
②通話ボタンを押す。
動作的には、いたって簡単であるが、高齢者の方は混乱することが多い。
一つ目の問題は、前回と前々回で掲載した多機能リモコンのようなデザインが原因である。
同じようなボタンが羅列しており、見た目にもわかりにくい。
二つ目の問題は、①の相手の番号を押す際には、かならず待受画面に戻っている必要がある。
他の画面では、番号ボタンを押しても上手く反応しないのである。
上記の影響で自分がいまどの場所にいるか、何を操作しているのか、わからなくなることがある。
『らくらくホン』に代表される高齢者層向けの携帯電話はボタンの形状を変える等、工夫はしているが、まだまだ改善の余地があると思っている。
例えば、電話をかける際は、黒電話の例に見習い、携帯電話の開閉等と関連付ければよいだろう。
しかし、現在、待受画面など主流となっているインターフェースを変える必要があるので、根幹を残しつつアレンジしていく必要性がある。
確かに黒電話は、今の時代には使わないかもしれないが、デザインとなれば、そこから学ぶ事も多い。
次回は、携帯電話が外見のデザイン重視となったため、使いやすいデザインが劣化している例を記載したいと思う。
(つづく)
参考文献:誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

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